退去費用の負担チェッカー

退去費用の負担チェッカー|原状回復ガイドラインで借主の負担割合の目安を出す
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くわしい説明(ガイドラインの考え方・年数で減る仕組み・使い方)

「退去費用の負担チェッカー」は、賃貸の退去で請求された修繕費が借りる側の負担になるかを、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・平成23年8月)の例と表に当てはめて確かめる無料のチェッカーです。
傷・汚れの種類と原因、住んだ年数から、ガイドラインのどの例に当たるか、借りる側の負担になりうるか、年数で減った負担割合の目安と、交渉のときに見せられる根拠のページが分かります。

最後にガイドラインと照らし合わせた日は2026年11月2日です。
法的な判断ではなく、契約書の特約が優先されることがあります。

賃貸の退去で請求された修繕費が本当に借りる側の分なのか、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に当てはめて確かめられます。
結果には、ガイドラインのどの例に当たるか、住んだ年数で減った負担の割合、交渉のときに見せられるページ番号が出ます。

判定に使う文言と表は、国土交通省が公開しているガイドライン(平成23年8月の再改訂版。2026年10月時点で国土交通省のページに掲載されている版)のものだけです。
割合は、ガイドラインの図3と同じ式で計算しています。

使い方

  • どこに傷・汚れがある?: 壁・天井、床、ふすま・障子・柱・窓、設備・そのほか、の4つから選びます。
  • どんな傷・汚れ?: 種類は、ガイドラインの別表1に例があるものを中心に並べています。
  • どうして付いた?: ふつうに暮らしていて付いた/手入れ不足・放置で広がった/不注意・わざと、の3つから選びます。同じ色落ちでも、日焼けなのか、不注意で雨が吹き込んだのかで、ガイドラインの扱いが変わります。
  • 何年住んだ?: 壁紙やカーペットなど、年数で負担が減るものにだけ聞きます。入居したときの新しさや、直すものの選び直しは、答えの下の「くわしい条件」で変えます。
  • 見積もりや請求の金額が分かれば、答えの中の「見積もり・請求の金額を入れる」から入れてください。割合をかけた目安の金額が出ます。
  • 「根拠のメモをコピー」で、そのまま管理会社とのやりとりに使える文が取れます。「ガイドラインの根拠」には、交渉のときに見せられるページ番号が出ます。

借りる側が払うのはどんなとき?

ガイドラインは、原状回復を次のように定義しています(第1章、8ページ)。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

大事なのは、借りたときの状態に戻すことではない、という点です。
国土交通省のページも、原状回復は賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない、とはっきり書いています。

いわゆる経年変化や通常の使用による損耗の修繕費用は、家賃に含まれるという考え方です。

傷や汚れは、4つに分けて考えます(10〜11ページ)。

区分中身費用の扱い
A賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの貸す側が負担
A(+G)Aのうち、次の入居者を確保するための化粧直しやグレードアップの要素があるもの貸す側が負担
A(+B)基本的にはAだが、その後の手入れなど賃借人の管理が悪く、発生・拡大したもの借りる側に原状回復義務が発生(負担すべき費用を検討)
B賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりするもの借りる側に原状回復義務が発生(負担すべき費用を検討)

場所ごとの主な例は、別表1(17〜21ページ)にまとまっています。

場所貸す側の負担の例借りる側の負担になりうる例
床家具の設置によるへこみ・設置跡、日照による畳の変色やフローリングの色落ち、次の入居者のための畳の表替え引越作業で生じたひっかきキズ、不注意で雨が吹き込んだことによる色落ち、カーペットに飲み物をこぼした後の手入れ不足によるシミ・カビ
壁・天井テレビ・冷蔵庫の裏の黒ずみ(電気ヤケ)、ポスターの跡、画鋲・ピンの穴(下地ボードの張替えが不要な程度)、自分の持ち物のエアコンを付けたときのビス穴タバコのヤニ・臭い、重い物を掛けたくぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要な程度)、結露を放置して広がったカビ、天井に直接つけた照明器具の跡(あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使わなかった場合)
ふすま・柱など次の入居者のための網戸の張替え、地震で破損したガラス飼っているペットによる柱のキズ・臭い、落書き
設備など通常の清掃をしていた場合の全体のハウスクリーニング、エアコンの内部洗浄(喫煙等の臭いなどが付着していない場合)、台所・トイレの消毒、紛失・破損の無い鍵の取替え手入れを怠ったコンロまわり・換気扇の油汚れ、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ、鍵の紛失、日常の不適切な手入れや用法違反による設備の毀損

間違えやすいのが、画鋲とくぎの違いです(18〜19ページ)。
カレンダーやポスターを留めた画鋲・ピンの穴は、ふつうの暮らしの範囲。

重い物を掛けるためのくぎ・ネジの穴は、画鋲より深く範囲も広いため、通常の使用を超えると判断されることが多いとされています。

同じAの例でも、傷み方の程度によってはBかそれに近いと判断されることがある、とも書かれています(11ページ)。
日焼けや家具の跡のように、ガイドラインの例が「ふつうの暮らし」のものだけの傷では、チェッカーの原因を「不注意・わざと」にすると「程度によっては」と出ます。

この11ページの考え方に沿った表示です。

住んだ年数で負担が減る仕組み

借りる側の負担になる傷でも、修繕費の全額を払うとは限りません。
経年変化や通常損耗の分は、借りる側が家賃として払ってきたことになります。

そこでガイドラインは、建物や設備の経過年数を考え、年数が多いほど負担の割合を減らすとしています(12ページ)。

壁紙(クロス)と、カーペット・クッションフロア・畳床は、6年で残存価値1円となるような直線(または曲線)で負担割合を出します(12ページ、別表2)。
チェッカーの計算は、ガイドラインの図3と同じ直線(定額法)です。

入居のときに張替え直後だった壁紙なら、割合の目安は次のとおりです(チェッカーと同じ式で出した計算値)。

住んだ年数借りる側の負担割合の目安
1年約83%
2年約67%
3年50%
4年約33%
5年約17%
6年以上1円(残存価値)

経過年数は、その部屋に住んだ年数で代わりにします(13ページ)。
ただし、入居したときに新品とは限りません。

そのときの状態に合わせて、グラフの出発点をずらします。

新築や交換・張替えの直後なら、出発点は100%です。
入居のときにすでに2年使われていた壁紙に2年住んだなら、チェッカーは経過4年として約33%と出します。

出発点をどこにするかは、契約の当事者が確認のうえ、前もって話し合って決めるのが適当とされています。

設備は、種類ごとの耐用年数で計算します(別表2、24ページ)。

耐用年数設備
5年流し台
6年冷房用・暖房用機器(エアコン、ルームクーラー、ストーブ等)、電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)、インターホン
8年主として金属製以外の家具(書棚、たんす、戸棚、茶ダンス)
15年便器、洗面台等の給排水・衛生設備、主として金属製の器具・備品
建物の耐用年数ユニットバス、浴槽、下駄箱(建物に固着して一体不可分なもの)

建物の耐用年数は、ガイドラインの資料8(168ページ)に載っています。
チェッカーは住宅用の年数を使い、木造・合成樹脂造は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年です。

耐用年数を過ぎると、残る価値は1円です。
それでも、まだ使えていた設備を、わざとや不注意で使えなくしたときは、元のように使える状態に戻す工事費や人件費が、借りる側の負担になることがあります。

ガイドラインは、壁紙にわざと描いた落書きを消す費用を例に挙げています(12ページ)。

年数で減らないもの

次のものは経過年数を考えず、傷めた分の費用を借りる側が負担します(14ページ、別表2)。

  • 襖紙・障子紙・畳表(消耗品としての性格が強いため)
  • フローリングの部分補修(床全体を張り替えた場合は、建物の耐用年数で考える)
  • なくした鍵の交換(シリンダーの交換も含む)
  • 通常の清掃をしていなかったときのクリーニング代

どこまでの範囲を払う?

負担するのは、傷めた部分を直すのに最低限必要な範囲です(14〜15ページ)。
別表3(26ページ)では、場所ごとに次のように示されています。

場所借りる側の負担の範囲
壁紙㎡単位が望ましいが、傷めた箇所を含む一面分までは張替え費用を負担してもやむをえない
壁紙(タバコ)部屋全体がヤニで変色したり臭いが付いたりした場合だけ、部屋全体のクリーニングまたは張替え
畳原則1枚単位(複数枚ならその枚数分)
カーペット・クッションフロア傷が複数箇所なら部屋全体
フローリング原則㎡単位(複数箇所なら部屋全体)
ふすま・柱ふすまは1枚単位、柱は1本単位

一部の傷なのに、色や模様を合わせるためとして、部屋全体の張替え代を請求されることがあります。

ガイドラインは、部屋全体の色・模様をそろえるのはグレードアップに当たる部分を含むので、部屋全体の張替えを借りる側の義務とするのは妥当ではない、という立場です。

そのうえで、傷めた箇所を含む一面分の張替え費用を借りる側の負担とするのが妥当と考えられるとし、経過年数を考えれば金銭的な負担は不当なものにならないと考えられる、と説明しています(14〜15ページ)。

Q&AのQ7(40ページ)も、不注意で壁紙に張替えが必要なほどのキズを付けた例で、同じ考え方を示しています。

契約書に特約があるときは?

国土交通省のページによると、すでに契約している人は、今の契約書が有効なものと考えられるので、契約内容に沿った扱いが原則です。
契約書の条文があいまいな場合などは、ガイドラインを参考にしながら話し合うよう案内しています。

ふつうの使い方で付く傷まで借りる側に負担させる特約は、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべき、とされています(第1章、6〜7ページ)。

  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

退去時のクリーニング代を決まった額で差し引く特約について、Q&AのQ16(45ページ)は、有効とされた裁判例と、有効とされなかった裁判例の両方を紹介しています。
チェッカーは特約を計算に入れていません。

特約があるときは、その中身を先に確かめてください。

納得できない請求が来たら

  • 明細を求める: ガイドラインでは、貸主が敷金から原状回復費用を差し引くときは、具体的な根拠を明らかにする必要があるとされています。借りる側は、内容・内訳の明細を請求して説明を求められます(Q&AのQ17、45ページ)。
  • 立会いでサインしていても: 傷があることを確認しただけなら、費用の負担を了承したものではないと考えられる、とされています(Q14、43〜44ページ)。
  • 単価が高いと感じたら: 費用は資材のグレードや施工方法で物件ごとに違います。賃貸人や管理会社に内訳を確認してみることも考えられる、とされています。高級品のクロスなど、グレードアップの費用まで負担する必要はないとされています(Q13、43ページ)。
  • 話がまとまらないとき: 地方公共団体の相談窓口や消費生活センターなどの行政機関でも、賃貸住宅の相談を受けています(第2章、34ページ)。60万円以下の金銭の支払を求める訴えには、少額訴訟の制度もあります(Q12、42ページ)。

入居時と退去時に立ち会ってチェックリストを作り、写真を撮っておくことは、トラブルを避けるために大変有効な方法とされています(Q1、37ページ)。
退去の前に、入居したときの写真や書類が残っていないか探しておきましょう。

このチェッカーで分からないこと

  • 金額が妥当か: 単価は物件ごとに違います。チェッカーは、入れた金額に割合をかけるだけです。
  • 傷の程度: ガイドラインは、程度の差に基づく詳細な負担割合の算定は行っていない、としています(11ページ)。チェッカーも、傷の大きさや深さは見ていません。
  • 特約や部屋の事情: ガイドラインは使用を強制するものではなく、最終的には契約内容や物件の使用の状況等によって個別に判断・決定されるべきもの、とされています。
  • 対象の住まい: 国土交通省のページによると、ガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。

結果は法的な判断ではなく、ガイドラインに当てはめた目安です。
最終的には貸主・管理会社と話し合い、まとまらなければ消費生活センターなどの相談窓口に相談してください。

参考(国土交通省のガイドライン・Q&A)

更新履歴

このページの数字や決まりを公式の情報と照らし合わせた記録と、内容を直した記録です(新しい順)。

  • 2026年11月2日ガイドラインの全文PDFと照らし合わせ、判定に使う文言と数字142か所に違いがないことを確かめました。確認した出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
  • 2026年10月26日ガイドラインの全文PDFと照らし合わせ、判定に使う文言と数字142か所に違いがないことを確かめました。確認した出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
  • 2026年10月19日ガイドラインの全文PDFと照らし合わせ、判定に使う文言と数字142か所に違いがないことを確かめました。確認した出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
  • 2026年10月12日ガイドラインの全文PDFと照らし合わせ、判定に使う文言と数字142か所に違いがないことを確かめました。確認した出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
  • 2026年10月12日公開しました。判定に使う文言と数字は、ガイドラインの記載とそのページ番号と組にして入れています。確認した出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」

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